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【経営情報】

 本ページは過去の経営情報を再掲載しております。

銀行が見る売掛債権回転期間


金融機関に決算書を提出すると、本店審査部において決算データが入力され格付けが行われます。その中に金融機関が注視する指標として「売掛債権回転期間」があります。 
この指標は決算月の売掛債権(売掛金、受取手形)が月商の何倍かを見るもので、以下の計算で求められます。


売掛債権回転期間=(売掛金+支払手形)÷(年間売上高÷12) 単位:ヶ月 
                  (又は=(売掛金+支払手形)÷(年間売上高)×365 単位:日)


つまり、決算時点で月商の何ヶ月分の売掛債権が滞留し、その回収までに何ヶ月期間がかかるかを見る指標で短いほど回収効率が良いと言えます。


例えば、全ての得意先が月末締め翌月末現金払いであれば、回転期間は1ヶ月となります。現金商売であれば当然0ヶ月となります。平均的には3ヶ月といわれています。 
個別企業の財務を平均で評価することは本質ではありませんので、業界平均はあくまでも目安としてほしいところですが、金融機関や調査会社は業界平均をある一定の指標としていますので知っておく必要はあります。 
以下のようなデータを参考にして下さい。


中小企業庁(データは古いです) 

http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/zaimu_sihyou/download/H19zaimu_sihyou_gaiyou.pdf

帝国データバンクやTKCなどの指標


金融機関が注視する理由に過去の回転期間との推移を見て、数値が高くなっていると売掛金の明細を聞かれる場合があります。企業は売上減少や赤字を隠すために架空売上、来期売上を計上(いわゆる粉飾)する場合があります。売上高を増やすと複式簿記では相手勘定である売掛金も増えますので、過去と比較して売掛金の残高が多くなり回転期間が悪くなります。


以上のように粉飾で回転期間が悪くなる場合もありますが、業種によっては粉飾でなくとも悪くなる場合があります。 
この回転期間は月商の変動が少ないことが前提となって判断されています。しかし、建設業のように月商の変動が大きい場合、例えば期中に大口の売上が計上され、期末は例年通りの場合、売上高は大きくなり、期末売上債権は例年通りとなり、回転期間が良くなります。 
このような場合、今期は回転期間は良くなるので問題はありませんが、来期の決算が前々期に戻れば、逆に回転期間が悪くなります。


このような回転期間の変動を的確に把握し、説明することは簡単なようですが、実際は多くの売上案件がある場合は見過ごされがちです。かと言って金融機関担当者が自ら調べて稟議書に書いてくれることは稀です。 
企業が自ら把握し、金融機関や調査会社に説明しておくことが重要です。


尚、売掛債権を見る場合、廻し手形や割引手形も加える場合もありますので、どのような財務データを使うのか積極的に金融機関に聞くことも必要です。 
その他、在庫回転期間や買掛債権回転期間も同様ですので、同業平均や過去の自社の推移を把握しておくことが重要です。

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