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実抜計画とは何だ、実抜要件に必要なこと

 

実抜計画とは、「実現性の高い抜本的な経営改善計画書」の略で金融業界で使われる言葉です。つまり、企業の経営改善がこの計画であれば具現化されるであろうという計画書になります。 
しかし、金融庁の検査マニュアルに実抜計画の要件が明確に示されているわけではありません。実際問題として中小企業の経営改善を全て画一的に定義できるものでもなく、100社あれば100通りの実抜計画となりますが、金融庁は「貸出条件緩和債権Q&A」(マニュアルCD収納)にて実抜計画の要件を以下のように定義しています。 
以下は上記Q&Aの抜粋です。

(問27) 「実現可能性の高い」の要件として、 
(1) 「一 計画の実現に必要な関係者との同意が得られていること。」 
(2) 「二 計画における債権放棄などの支援の額が確定しており、当該計画を超える追加的支援が必要と見込まれる状況でないこと。」 
(3) 「三 計画における売上高、費用及び利益の予測等の想定が十分に厳しいものとなっていること。」 のそれぞれを規定してある主旨如何。
 
(答) 
1. 貸し手の金融機関と借り手の企業間で再建計画を策定し事業再生を進めていく場合、当該企業に対する債権が貸出条件緩和債権(要管理債権)から上方遷移するために再建計画が満たすべき基準としては、①「実現可能性の高い」及び②「抜本的な」という大別して2つの要件を満たすことが必要である旨規定している。 
2. このうち、「実現可能性の高い」という要件として、3つの要素を掲げているが、それぞれの趣旨は、以下のとおり。 
(1) 「一 計画の実現に必要な関係者との同意が得られていること。」 
経営再建計画には、メイン行、非メイン行を含め多数の関係者が関与しており、これら関係者の同意が得られていることを確実にチェックする必要がある。 
具体的には、「計画の実現に必要な関係者との同意」とは、経営再建計画の計画に沿った実行が妨げられないよう、予め契約等により計画に協力する(又は反対をしない)旨の意思を確認しておく必要があるすべての関係者の計画に協力する意思を指す。また、こうした「同意」の性格上、当該意思表示は、書面等によって明確に確認できることが必要である。 
(2) 「二 計画における債権放棄などの支援の額が確定しており、当該計画を超える追加的支援が必要と見込まれる状況でないこと。」 
規模の大きな企業の再生については、資産売却等のリストラが逐次実施され、それに応じて債権放棄等の金融支援が行われる内容の計画となることもあるが、そうしたすべての金融支援が計画策定時に織り込まれている必要がある。 
(3) 「三 計画における売上高、費用及び利益の予測等の想定が十分に厳しいものとなっていること。」
計画における売上高等の想定は、当然のことながら、当該企業の事業価値や事業環境に照らして十分現実的なものである必要がある。 
(注) 「三」においては、再建計画の実現性の検証に当たって、「売上(高)」=「事業の継続性と収益性の見通し」と「利益」=「キャッシュフローによる債務償還能力」を重要視しており、主な検証ポイントとして例示している。

(問28) 「抜本的な」の要件である、 
(1) 「概ね3年(債務者企業の規模又は事業の特質を考慮した合理的な期間の延長を排除しない。)後の当該債務者の債務者区分が正常先となることをいう」 
(2) 「なお、債務者が中小企業である場合の取扱いは、金融検査マニュアル別冊「中小企業融資編」を参照のこと」 
の主旨如何。
 
(答) 
1. 貸し手の金融機関と借り手の企業間で再建計画を策定し事業再生を進めていく場合、当該企業に対する債権が貸出条件緩和債権(要管理債権)から上方遷移するために再建計画が満たすべき基準としては、①「実現可能性の高い」及び②「抜本的な」という大別して2つの要件を満たすことが必要である旨規定している。 
2. このうち、「抜本的な」という要件の趣旨は、以下のとおり。 
(1) 「概ね3年(債務者企業の規模又は事業の特質を考慮した合理的な期間の延長を排除しない。)後の当該債務者の債務者区分が正常先となることをいう」 
再建計画の内容は短期間に徹底した経営改善を進めるものであることが必要であり、 
ⅰ) 期間については、「私的整理に関するガイドライン」や旧産業再生機構の「支援基準」において3年が目処とされていること 
ⅱ) 徹底した経営改善の結果、3年後に到達すべき状態については、 
・ 「私的整理に関するガイドライン」においては「経常黒字化・実質債務超過解消」が求められていること 
・ 機構の「支援基準」においては、これらに加え、「有利子負債のキャッシュフローに対する比率が10倍以内となること」、「新たなスポンサーの関与等によりリファイナンスが可能と見込まれること」等が求められていること 
を踏まえ、抜本的と認め得る再建計画の内容は、対象債務者が「3年後」に「正常先」となるようなものでなければならないと考えられる。 
(2) 「なお、債務者が中小企業である場合の取扱いは、金融検査マニュアル別冊「中小企業融資編」を参照のこと。」 
中小企業においては、大企業と比較してリストラの余地も小さく黒字化や債務超過解消までに時間がかかることが多い。そこで、 
ⅰ) 監督指針が「債務者企業の規模又は事業の特質を考慮した合理的な期間の延長」を認めていること、 
ⅱ) 「私的整理に関するガイドライン」において、「中小企業においては合理的な理由があれば、柔軟な活用もあり得る」としており、中小企業の再建計画の策定を実務的にサポートする中小企業再生支援協議会においても、これを踏まえ、債務超過の解消年数は5年以内としていること、 
ⅲ) 検査マニュアルでは概ね5年以内(5~10年で概ね計画どおり進捗している場合を含む)に正常先となる経営改善計画が策定されていれば破綻懸念先から要注意先以上へのランクアップを認めていること 
等を勘案し、中小企業に限り、検査マニュアルを参照して、卒業基準(要管理債権からのランクアップ基準)を「計画期間が概ね5年以内(5~10年で概ね計画どおり進捗している場合を含む)で、計画終了後正常先となる経営改善計画が策定されていること」に緩和することとしている(※)。 
(※) 金融検査マニュアルにおける「合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画」を、監督指針における「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」と同義とみなして、差し支えない。 
(※) 合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画については、「金融機関の再建支援を要せず、自助努力により事業の継続性を確保することが可能となる場合」は計画終了時点における債務者区分が要注意先でも差し支えない。 
<以上、抜粋終わり>

以上の通り、中小企業において一番重要な要素は(3)「三 計画における売上高、費用及び利益の予測等の想定が十分に厳しいものとなっていること。」と言えます。
その他、債務超過解消時期や有利子負債のキャッシュフロー倍率等の数値も重要です。 
中小企業の場合、債権放棄・DDS・DES等の金融支援、スポンサー支援などを伴う経営改善は少ないので、経営改善計画書の1年以上の進捗(概ね8割、実質的には9割以上)を持って、実抜計画であるかどうかの判断がなされます。

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