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【経営情報】

 本ページは過去の経営情報を再掲載しております。

経営改善計画書(実抜計画)は何年策定すればいいか

 

金融機関から融資を受ける場合、中小企業金融円滑化法(H25.3月末終了)に基き返済猶予・条件変更を申請する場合、経営改善計画書が必要となりますが、計画書の策定期間を何年とすればいいかという問いにお答えします。

 

①経営計画書、改善計画書の策定期間の基本は5年間です。金融検査マニュアル(中小企業版)では経営改善計画書の場合、当初は「概ね3年」以内に正常先になることとしていましたが、H20.10月に「概ね5年」に延長されました。
  
②経営改善計画書の場合、経営改善計画が概ね計画通り(売上高や当期利益が計画比して概ね8割)に進捗している場合には、最長10年以内の計画についても5年の計画と同様に扱えるとの規定がありますので、10年間策定する場合もあります。

 

③その際の基準として、債務超過が解消するまでの期間、金融機関借入金(有利子負債)のキャッシュフローに占める比率が10倍以内、つまり有利子負債が償却前当期利益の10倍以内になるまでの期間、累積赤字が解消するまでの期間が目安となり、これらを解消するまでの期間の経営改善計画書を策定することが望ましいと思われます。

 

④そのためには損益計算書だけではなく、5-10年間の貸借対照表の作成も必要となります。

 

※弊社発行の「経営改善計画書作成マニュアルブック」には、上記期間を一枚で要約できる「経営改善計画財務概要表」(損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、キャッシュフロー(C/F)、借入残高推移、財務概要の要約を表示できる資料)をエクセルでご提供しています。

※また、中長期計画の貸借対照表の作成方法もご説明しています。

 

以下は、金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕がH20.10月に改定された際の情報を抜粋してお知らせします(以下金融庁資料抜粋)

 

(1)経営改善計画の期間を延長(3年から5年)
中小企業についてはその特性を踏まえ、正常先に至るまでの期間を「概ね5年」に延長しました。
具体的には、監督指針の「概ね3年」という規定について、「企業の規模に応じた延長が認められる」ことを、また、「債務者が中小企業の場合には、マニュアル別冊を参照すること」を追記しました。そして、これを受ける形でマニュアル別冊において、中小企業については「概ね3年」を「概ね5年」と明記しました。
この改定により、これまで「要管理先」とされていた借り手が「その他要注意先」となる事例や、そもそも「要管理先」となることを恐れて金融機関が条件変更を積極的に行わなかった借り手についても、新たに実抜計画が策定される事例等が出てくることが期待されています。
例えば、経営状態からは「破綻懸念先」と判断されるものの、5年間で正常先となるような合理的で実現可能性の高い経営改善計画を策定することにより、「要注意先」とみなされる中小企業があったとします。今までであれば、この中小企業は、計画に伴い元本返済猶予等の条件緩和が行われた結果、要注意先のなかでも「要管理先」と判断されていたと考えられますが、今回の改定によって、5年間の経営改善計画をもって条件緩和債権に該当しないとの取扱いが可能となったことから、「その他要注意先」と判断されることになります。
また、金融機関が「破綻懸念先」の中小企業について、3年の経営再建計画を策定しようとすると多額の債権放棄が必要になってしまうことから、計画を策定できなかったケースでも、今回の改定により、5年の計画が認められることから、金融機関にとっても過度な負担をせずに無理のない再建計画を策定できるようになります。
さらに、「その他要注意先」の中小企業から早めの経営改善のために5年間にわたる改善の見通しとともに条件変更の要請があった場合、今までであれば、条件変更に応じてしまうと不良債権になってしまうのを嫌って条件変更に応じなかった金融機関も、今回の改定により、柔軟に条件変更に応じることが可能となります。

 

(2)経営改善計画の期間を柔軟化
正常先となる期間を「概ね5年」に延長したことに加え、特例として、順調に進捗している計画については、より長期であっても認められることになりました。
具体的には、経営改善計画が概ね計画通り(売上高や当期利益が計画比して概ね8割)に進捗している場合には、最長10年以内の計画についても5年の計画と同様に扱えることです。
例えば、残存期間10年の経営改善計画について、過去の進捗状況が概ね計画通りであり、将来的にも順調な推移が見込まれる場合には、同計画を実抜計画として扱うことが可能となります。また、新たに10年の計画を策定した場合、当初は「要管理先」として判断されるものの、その進捗状況が確認できれば、それ以降、実抜計画として扱うことが可能となるため、「その他要注意先」になります。
なお、この点について、金融検査における当面の運用として計画期間が5年を超え10年以内であり、かつ、明らかに達成困難であるとは認められない場合には、進捗状況が確認できない計画策定直後であっても、概ね計画通りに進捗しているものとして扱うことにしています。

 

(3)計画終了時の債務者区分に係る柔軟化
計画期間の延長に加え、計画終了時の債務者区分についても、一定の柔軟化を図りました。
具体的には、仮に計画終了時に債務者区分が「正常先」とならない場合であっても、計画終了後に自助努力により事業の継続性を確保できるのであれば、債務者区分は「その他要注意先」であっても差し支えありません。
例えば、5年後の計画終了時に「正常先」の状態まで改善が進むがどうかは定かではないとしても、少なくとも金融機関による追加的な金融支援なしに自力で債務の返済に十分なだけのキャッシュフローを確保できる見通しがあるというような場合には、計画終了時の債務者区分が「要注意先」であったとしても、実抜計画とみなせます。

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