【経営情報】(経営財務・金融)

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 ・金融円滑化法終了後最も重要なこと.pdf (700KB)
 ・金融仲介機能のベンチマークの運用開始.pdf (314KB)

2011.11.02 返済猶予企業の社長、改善計画書の進捗、銀行の声
2011.10.19 返済猶予・条件変更後の新規融資
2011.09.23 地方金融機関大再編の幕開けが始まった
2011.07.21 銀行交渉の仕方
2011.06.17 銀行融資は借り手市場になる
2011.04.30 融資したくてしょうがない信用金庫
2011.04.27 急がれる実抜計画策定
2011.02.28 いかにプロパー資金で調達するか

2011.02.24 金融庁検査結果事例集

2010.09.30 条件変更・返済猶予中の手形割引
2010.08.28 コミットメントライン、中小企業にも
2010.06.07 資産譲渡損益の計上ができなくなる
2010.04.30 条件変更・返済猶予中(元金減額)の新規融資
2010.04.06 参考になる金融機関の取組み事例集
2009.09.27 金融庁・経産省が徹底すべきこと
2009.06.15 一度断られた融資
2009.03.28 経営改善計画書とは(条件緩和、返済条件変更)
2008.09.28 建築業界・不動産購入資金調達~難易度が高い融資~
2008.09.01 金融庁方針と中小企業経営
2008.07.03 銀行融資実行確率5%への挑戦

2011.11.02 返済猶予企業の社長、改善計画書の進捗、銀行の声

 

当社は中小企業金融円滑化法に基づく借入金の返済猶予に関する「経営改善計画書作成マニュアルブック」を刊行販売していますが、その購入者の皆様からご質問を頂いたり、実際に返済猶予を行っている企業の財務改善、金融機関交渉等のコンサルティングも行っています。

実際にコンサルティングを行う場合は直接当社が銀行に出向き、月次財務改善報告なども行っています。毎月約10行の銀行、信金、信組を訪問しますが、その際の銀行員との雑談で最近の金融円滑化の状況も聞かせて頂く機会があります。

今回はその中でも返済猶予を行っている企業経営者・改善の進捗について記したいと思います。

 

・今年の6月以降金融庁の金融検査方針が変わり、返済猶予を行う場合経営改善計画書を提出することが当然となったが、中には「今後の元金返済を毎月1万円にさせて頂きたい、円滑化法という法律があるのだから問題ないでしょう」と聞きようによっては返済しないことに対する申し訳ないという意識がまったくなく完全にモラルハザード(倫理の欠如)となっている。

・金融円滑化法を返済猶予しなくてもいい権利であると、履き違えている(円滑化法は単に返済猶予で中小企業の資金繰りを支援する努力義務と返済猶予の数値状況を金融庁に報告する義務が金融機関に課せられているに過ぎないのです)。

・経営改善計画書を提出する企業も多くなったが、計画書が単なるペーパーになっており、抜本的な改善内容(受注構造改革、営業努力、経費削減等)の記載が無く、実抜計画書(実現可能性の高い抜本的な経営改善計画書)と言えないものが多い。

・単に決算書データを入力し、機械的にアウトプットされただけの計画書を持参する会社が多い、特に会計データで財務分析比率・指標(利益率や回転率等)を羅列し機械的なコメントが書かれたものを持参し、まったく経営者が中身を理解しておらず説明すらできない。

・規模の大きな企業は別だが、中小企業であれば経営者が計画書の中身を理解し説明してほしいが、理解できていない場合が多い。細かい財務数値は別としても営業上の戦略や今後の方向性は経営者が自ら説明できなければ、銀行としても前向きな稟議書が書けない。

・提出済の経営改善計画書が未達成で再度の見直しをお願いしたが、売上高は逆に上方修正され、それに対する根拠が明確に説明できない経営者も多い

 

以上のように、銀行が返済猶予企業の経営改善計画書を審査するのに多くの労力を費やしている現状があります。返済できないことは経済情勢で仕方ない部分もありますが、基本は約定どおりに返済できないということは約束違反であることを十分に理解し、如何に経営改善し返済を再開できる企業になるかを経営改善計画書で説明できなければ、早晩返済猶予再契約ができない、期限の利益喪失で元金返済を迫られる、債権をサービサーに売却される等会社が存続できない事態もあり得ます。2011.4月以降の金融庁の金融円滑化監督指針変化もその一環なのです。

尚、金融円滑化法は2012.3月期限となっていますが、現時点では震災の影響で再延長ということも考えられますが、金融庁内部では終了する方向性が強いとも言われており、法延長は政治的な要素も絡みますので、現時点では終了する可能性のほうが高いと思われます。

 

是非とも「経営改善計画書作成マニュアルブック(A4判、356ページ、CD付)」を貴社の経営改善及び顧問先の経営改善支援にお役立ていただきたいと思います。

 

 

2011.10.19 返済猶予・条件変更後の新規融資

 

中小企業金融円滑化法に基づき、返済猶予・条件変更を行った場合、変更後の新規融資は従来どおり簡単に融資がおりるものではありません。円滑化法により返済猶予先の格付けは経営改善計画書が策定されていれば不良債権に該当しない取り扱いですが、不良債権でないことが融資可能とはなりません。

しかし、H23.4月の監督指針では「新規の信用供与」という項目で金融機関は積極的かつ適時適切に新規の信用供与を行うよう努めるとの指針が出されました。

 

H23.4.4に金融庁から出された「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律に基づく金融監督に関する指針」に以下のような記載があります。

 

(3)新規の信用供与

貸付けの条件の変更等を行った債務者に対しても積極的かつ適切に金融仲介機能を発揮する観点から、Ⅱ-2(1)に定める経営改善が必要な債務者等から新規の信用供与の申込みがあった場合であって、新規の信用供与により新たな収益機会の獲得や中長期的な経費削減等が見込まれ、それが債務者の業況や財務等の改善につながることで債務償還能力の向上に資すると判断される場合には、積極的かつ適時適切に新規の信用供与を行うよう努める。

上記のⅡ-2(1)に定める経営改善が必要な債務者等とは、返済猶予を行っている企業を金融庁は初めて以下の3パターンに分類しました。

 

  • 経営改善が必要な債務者(自助努力により経営改善が見込まれる債務者など)

  • 事業再生や業種転換が必要な債務者(抜本的な事業再生や業種転換により経営の改善が見込まれる債務者など)

  • 事業の持続可能性が見込まれない債務者(事業の存続がいたずらに長引くことで、却って、経営者の生活再建や当該債務者の取引先の事業等に悪影響が見込まれる債務者など)

 

③の「事業の持続可能性が見込まれない債務者」に関しては、追加記事「208_金融業界に衝撃が走った」にて説明したとおり、金融業界や新聞紙上でも円滑化法申請企業が今後厳しくなることが論議されている主因の部分で金融庁による金融機関への金融検査が厳しくなった要因にもなっています。

 

この監督指針にある「新規の信用供与」は上記の①の企業に対し、返済猶予・条件変更を行っていたとしても積極的かつ適時適切に新規の信用供与を行うよう努めなさいというものです。

しかし、これはあくまでも努力義務ですので、新規融資を行うかどうかの判断は金融機関に委ねられていますので、経営改善計画書が実抜計画となっているか、順調に進捗しているか、資金使途は明確か、回収の可能性は問題ないか等ハードルが高いことに変わりはありません。

 

当社が関与した事例でも返済猶予後1年後に信用保証協会の新規保証がついた事例もありますので、銀行プロパーでも不可能ではありません。

新規融資が実現するためには、やはり実抜計画書が重要となります。

 

新規融資を成功させるポイントに関しては、当社刊行の経営改善計画書作成マニュアルブックの以下章で説明しています。

  • 第2章 2-4 新規融資事例、新規融資のポイント(条件変更中) P.57

  • 第9章 4-2 元本据置中に保証協会保証が付いた実例、4-3 元本据置中の新規融資・保証のポイント、条件変更中の新規融資のポイント P.212

 

2011.09.23 地方金融機関大再編の幕開けが始まった

 

金融庁は地域金融機関にも「中核的自己資本」を強化するように求める方針であるとの報道がなされました。これは地銀をはじめとする信金、信組の大再編の幕開けである。

中核的自己資本とは銀行の自己資本として認められる項目のうち、内部留保や普通株といった資本として質が高いとされる部分のこと。つまり、企業で言えば資本金や当期利益の蓄積である繰越利益剰余金(内部留保)を積み増し、自己資本比率をもっと上げなさいということである。

この中核的自己資本の増強は、バーゼルⅢとして国際的に業務を展開する大銀行に2012年から適用される。その一環で金融庁は地方金融機関にも自己資本増強を求めるのである。

 

想定される予測と問題点を以下に列記する。

1.企業毎の格付けにより貸出即貸倒引当てとなるので、中小企業へのプロパー貸出が減少する(貸出金利収入減少→銀行利益縮小)

2.中小企業金融円滑化法が不良債権の温床となり、金融機関の自己資本が毀損される(自己資本減少)

3.更には金融庁の金融機関に対する金融検査が厳しくなり、引当金積み増しが増える(自己資本減少)

4.地銀、信金、信組の大合併が5年以内に到来する

5.金融再編により、中小企業の資金調達先が減少

 

中小企業にとっては、金融再編により資金調達手段が縮小することになるが、これは逆に貸せる企業と貸せない企業が選別されることであり、貸せる企業になれば資金調達を含めた金融取引が好転することにもなる。

中小企業金融円滑化法により、返済猶予・条件変更を行っている企業は金融庁の金融機関に対する金融検査が厳しくなっているため、次なる条件変更契約が厳しくなることも予測されます。経営改善計画書の策定とその実行、進捗の月次報告が重要です。

   

以下は日経新聞23.9.22記事全部抜粋

信金・信組の自己資本規制を強化 金融庁、中核資本4%軸に

金融庁は地域金融機関を対象にした自己資本規制を強化する。貸し出しなどのリスク資産に対し、普通株式や利益剰余金などで構成する「中核的自己資本」の最低比率を現行の2倍に相当する4%前後に引き上げる方向で調整している。業績悪化で新基準に抵触しかねない金融機関には早期是正を促すとともに、競争が激しい地域金融の再編につなげる。

金融庁は8月末を期限に、地方銀行や信用金庫、信用組合など約600の金融機関に自己資本の詳細なデータの提出を求めた。結果を踏まえて、財務の健全性を高める新基準の詳細を今年度中に固める方針だ。国際的に展開する大手金融機関への新自己資本規制が始まる2013年以降の早期に実施する。

現在の地域金融機関への自己資本規制は、中核的自己資本の比率を2%以上とするよう求めている。普通株や信金・信組における出資金は返済の必要がないため、損失が出た際に吸収力が高い。新規制ではこうした中核的自己資本を2倍程度に高める。

11年3月期に地方銀行、第二地銀で中核的自己資本比率が4%を下回ったのはゼロだった。一方、信金・信組について日本経済新聞が公表されている財務諸表を調べたところ、4%を割り込んでいるところは5程度だった。この水準が続くと、新基準では即座に資本増強が求められる。

一方、資本の余裕が比較的乏しい6%以下の地域金融機関は少なくとも30強ある。業績が悪化して中核的自己資本比率が4%に近づいて下がるような場合は、金融庁は早期に資本増強を求める考えだ。

地域金融機関はかねて「オーバーバンキング(銀行過剰)」と指摘されている。地域経済の地盤沈下で有望な貸出先も減っており、収益もじりじりと減少し続けている。今回打ち出す自己資本比率規制の強化は、こうした地域金融機関の再編などによる抜本的な経営基盤の強化につなげる狙いもある。

(抜粋終)

 

以下は毎日新聞23.8.18記事全部抜粋

金融庁:地銀も自己資本規制を強化へ

金融庁が地方銀行など国内だけで業務している金融機関への自己資本規制を強化する検討を始めたことが18日、分かった。地域金融機関などの財務基盤の健全性を高めることで金融危機の再発防止体制をさらに強化する。

現行の自己資本比率規制は、国際業務を行うメガバンクなどは8%以上、地銀などは4%以上。08年秋のリーマン・ショック後、健全性を高めるため、各国の金融当局はメガバンクなどについて資本の質が高い普通株主体の「狭義の中核的自己資本比率」の考え方を取り入れ、実質7%以上とする新規制(バーゼル3)導入で合意した。

金融庁は来年1月にも銀行法改正案を公表するが、これに合わせて地銀など国内業務行の規制強化も検討。自己資本比率引き上げや、「狭義の中核的自己資本比率」を一定程度確保することなどが議論される見通しだ。

将来的に海外進出する場合に国際基準行に移行しやすいメリットもあるが、収益力が低下している地銀は増資や経営統合などを迫られる可能性がある。東日本大震災で不良債権が増加した地域金融機関への配慮も求められるため、金融庁は資本状況を調査し、規制強化の適用の可否を実態に合わせて判断する考えだ。【

(抜粋終)

 

2011.07.21 銀行交渉の仕方

 

中小企業経営にとって業績が好調な時は銀行員が訪問し、新規借入や手形割引の営業に来ると思います。しかし、一旦業績が暗転し新規借入や手形割引のお願いをしてもなかなかうまくいかない場合が多いでしょう。

経営者にとって金融機関は敷居が高い存在で、見られたくない部分や話したくない部分、業績が悪化し資金繰りが厳しい状況を知られるのが嫌だと思うこともあるでしょう。

多くの企業経営者や経理担当者に話を聞いていくと、銀行担当者から言われたことが全てであり、こちらからの要望を聞き入れてもらうことは難しい、機械的に審査されるだろうからこれ以上言っても無駄だろうと、突っ込んだ交渉をしないまま銀行員からの言葉を鵜呑みにしていることがあまりにも多いと感じます。

 

例えば、営業上の仕入先に今回の受注物件は採算が厳しいので、何とか単価を下げてくれないだろうかと根気強く交渉することは良くあるでしょう。

金融機関との交渉も同じことなんです。貸借対照表の右の欄に負債が計上されていますが、仕入先は買掛金として、金融機関は借入金として同じ場所に計上されています。仕入先も金融機関も現状を理解してもらい、自社に有利な交渉をするということは同じと考えてください。

 

そのためには金融機関に現状を正直に説明し、理解を求める。銀行担当者が稟議書を書きやすいような資料を積極的に提出することが重要です。銀行担当者も多くの得意先を抱え、一社一社の資金繰りを考えて日々接しているわけではありません。

企業サイドは付き合いのある銀行・担当者だから自社のことは知っているだろうと思うでしょうが、案外理解していない場合が多いのです。担当者によって通る場合と通らない場合があります、その担当者が別の業務で多忙であればあなたの会社のお願いは後回しになっているかも知れません。最悪は担当者の裁量で検討すらされず、却下されている場合もあるのです。

 

ある会社の事例ですが、手形割引枠が一杯になりどの金融機関も割引枠増額をしてもらえず、資金繰りに窮していました。その時サブ銀行担当者からメイン銀行に保証協会保証付で割引枠を設定してもらってはどうかとのアドバイスを頂きました。しかしメイン銀行の反応は保証付借入も枠一杯だから新たな保証は無理だろうとの返答です。会社側も無理だろうと半信半疑でしたので、やっぱりかという思いでサブ銀行担当に報告したところ、その担当者が保証協会に交渉してくれて割引枠が増額されたのです。この事例では、

  • メイン銀行担当者は保証協会に交渉することもなく担当者判断で無理と返答した

  • サブ銀行担当者はダメもとで保証協会に交渉してくれた

  • 会社側は無理と思いながらも窮状をサブ銀行に粘り強くお願いした

このような事例は沢山あります。まずは企業側が銀行は敷居が高いと思わず、仕入先と同じと考え、真摯に熱心にお願いすることが銀行交渉では一番重要です。銀行員も人間です、何とかしてあげたいと思われる会社、経営者にならなければいけません。

断られてもどうしたら叶うか、どのような資料を出せば良いか、相手にゲタを預けることが必要です。

 

2011.06.17 銀行融資は借り手市場になる

 

セーフティネット保証終了

平成20年10月に始まった保証協会保証の「原材料価格高騰対応等緊急保証制度」はその後、「経営安定関連保証制度」から現在は「景気対応緊急保証制度」へと変わり、平成23年9月30日が申し込み期限となっています。金融機関も最後の追い込みとばかりにテレアポによる融資勧誘に拍車がかかっています。

制度終了後は業種を絞り、また金融機関の責任共有制度(保証協会80%、金融機関20%保証)となると思われます。借入需要のある企業は申込みが集中する前の申込みをおすすめします。

 

金融機関の業績について

各金融機関はH23.3月期の業績を発表しましたが、総じて貸出金利収入と貸出残高が低下しています。金融機関の収益の殆どは貸出金の金利収入です。その他に金融商品手数料等収入がありますが、9割近くは金利収入です。

貸出残高自体は横ばい又は微減というところですが、中身を見ると、事業貸出↓、個人→、公共↑となっており、企業への貸出が大きく減少しています。公共は今後大きな需要は見込めない、金利競争である、企業業績が悪く貸出が伸びない、企業業績が悪ければ個人貸出も伸びないというスパイラルの懸念があります。

本来であれば、H20年からの保証協会保証融資の充実で企業への貸出残高は伸びてもいいものの減少しているということは、貸出自体を抑えている、貸したくても貸せない等色んな要因があると思いますが、金融機関が生き残っていくためには企業への貸出を増やさなければいけません。

ぜひ一度、自社の取引銀行の業績を確認してみてください。ポイントは貸出収入の対前年減少額と経常利益額が何倍になっているかです。5倍以下は厳しいと言わざるを得ません。

 

保証協会保証融資の見直し

現在、経済産業省では政府保証に頼らない中小企業融資が検討されています。詳細は今後の検討になりますが、今までのような企業救済的な保証協会融資は少なくなってくると思われます。そうなれば金融機関は如何にプロパーでリスクを最小限に貸出するか、中小企業は如何にプロパー資金を借りることが出来るかで存続が左右されることになります。

 

銀行融資は借り手市場になる

以上のように、金融機関業績の不振、保証協会融資の減少という要因を考えると、今後益々借りられる企業と借りられない企業が明確になっていくと思われます。今までは保証協会保証である程度はどんな企業にも金融機関は貸し出してきました。それは100%保証協会が保証してくれますので、貸倒のリスクはゼロだからです(責任共有徐く)。しかし、金融機関の基本は貸したくて貸したくてしょうがないというのが本音です。ということは企業にとっては借り手市場なのです。この市場に参入するための必要条件は次の3つです。

・貸せる社長

・貸せる決算書

・借りる理由

 

2011.04.30 融資したくてしょうがない信用金庫

以下は4.21付け日本経済新聞の一部抜粋

信金「預貸率」、最低の53.3% 3月末

信金中央金庫が20日まとめた預金・貸出金残高(速報)によると、全国の信用金庫の3月末の貸出金残高は63兆8497億円となり、前年同月に比べ0.4%減少した。中小企業の資金需要が低迷しており、16カ月連続のマイナスとなった。一方、預金残高は2.0%増の119兆7501億円。預金量に対する貸出金の割合を示す「預貸率」は53.3%と過去最低に落ち込んだ。

東日本大震災に伴う企業の運転資金の需要増はみられなかったが、国の緊急保証制度の延長によって4月以降は資金需要が徐々に膨らむ可能性がある。(抜粋終わり)

以上のように、信金は100預金を集め、その内53.3しか貸出が出来ていない状況です。これは信金自体の収益低下を意味するものであり、以下の要因が考えられます。

・保証協会保証付融資を都銀、地銀に奪われている

・保証協会保証付で借入ができる企業が少なくなった(既に限度一杯借入)

・信金がターゲットとする地域中小零細企業、個人事業主の業績悪化で貸出ができない

・信金自体、企業への貸出判断能力の低下又は不足

・金融機関のプロパー資金貸出意識の限界、リスクを取った貸出ができないなど

 

このような現状は逆の言い方をすれば、信金は貸出を増やす必要があり、借り手市場とも言えます。自社の財務体質(貸借対照表、損益計算書)を改善し、前向きな資金需要を事業計画書で訴求できれば、中小企業にとって大きな資金調達先ともなります。

 

尚、地銀トップの横浜銀行の預貸率は81.05%となっており、10年前の2000年10月時点では、都銀が102%、地銀が76%、第二地銀が84%、信金が66%でしたが、直近の数字は、各々70%、74%、76%、53%と、大きく低下しています。

以下の金融庁リンクより都銀以外の金融機関の業況をみることができます。

http://www.fsa.go.jp/policy/chusho/shihyou.html

 

2011.04.27 急がれる実抜計画策定

以下は帝国データバンク2011.4.18記事の一部抜粋です。

金融円滑化法などによる返済猶予後の倒産動向調査、2010年度の返済猶予後倒産148件、2.5倍に急増

 

3月31日、時限立法であった中小企業金融円滑化法の改正案が国会で成立し、2012年3月31日までの延長が決まった。東日本大震災の影響も加わり中小企業の資金繰り悪化が懸念されるなか、返済猶予を受けながらも業績を回復できずに行き詰まる企業が、ここにきて相次いでいる。

帝国データバンクでは、2009年度および2010年度の倒産企業(負債1000万円以上の法的整理)の中から、倒産前に金融機関から借入金の返済条件変更等を受けていた企業を抽出し、2010年度の148件を主な対象に集計・分析した。なお、同様の調査は2010年12月に続いて3回目。

 

調査結果(要旨)

1. 2010年度の「返済猶予後倒産」は148件判明、前年度に比べて150.8%増と2.5倍に急増。猶予期間中に業績回復できずに行き詰まる企業がここにきて相次ぎ、政策効果の息切れ顕著に

2. 業種別では、製造業が43 件でトップ。前年度の2倍に増加し、全体の約3割を占める

3. 倒産企業のメーンバンクをみると、メガバンク(28件)が前年度の3.5倍に増加

4. 倒産原因別では、「不況型倒産」の構成比は81.8%。大半が販売不振や業界不振で行き詰まる

5. 態様別では、破産が127件でトップ。破産と特別清算の「清算型」が全体の86.5%を占める

 

2010 年度の企業倒産は1万1496件で、前年度比10.6%の大幅減少となった。さまざま要因があるなかで、倒産抑制に最も大きな効果を発揮したのが中小企業金融円滑化法だ。すでに同法に基づく借入金の返済条件変更等の実行件数は100万件を超え、実行率も90%後半にのぼり、リーマン・ショック後の長期不況に苦しむ中小企業の資金繰りを下支えしてきた。

しかし、その一方で異例の資金繰り支援策の副作用もここにきて顕在化しつつある。猶予期間中に業績回復できない企業による再度の条件変更要請が相次いだことで、改善の見込みが乏しい企業の延命にまでつながり、金融機関にとっての潜在的な不良債権が膨らんでいるとの指摘は根強い。「2010年度の返済猶予後倒産148件、前年度の2.5倍」という今回の調査結果をみても、施行から1年4 ヵ月が経過し、ここにきて金融円滑化法による倒産抑制効果に陰りが見えつつあるのは明らかだ。下表の「年度四半期別・倒産件数推移」をみても、2010年度は期を追うごとに前年同期比の減少幅が縮小してきており、前期比ではすでに増加に転じている。こうしたなかで東日本大震災が発生し、政策効果の息切れと大震災が重なったことは、今後、企業倒産に大きな影響を及ぼすはずだ。震災以前から金融円滑化法でリスケ延命中だった企業は全国各地にあり、「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画(いわゆる実抜計画)」の達成・提出が急がれるなか、震災による実体経済の悪化が長引けば、企業倒産は早期に増加局面に転じるおそれが十分にある。(抜粋終わり)

 

以上のように、条件変更・返済猶予をしたものの倒産に至っている企業が多いとの調査結果となっています。経営改善計画書を作ったからといって、利益が上がるわけではないと考える方もおられますが、仮にそうであっても、経営改善計画書を作成しなければ銀行の次なる条件変更・返済猶予の契約ができない可能性が高いことには変わりありません。

改善計画書を作成し、経費削減・営業戦略を確実に実行することが企業経営には不可欠です。

 

2011.02.28 いかにプロパー資金で調達するか

2011.2.28付日本経済新聞に「中小企業向け融資 公的金融1/4に迫る」という記事が掲載されました。

以下は要約抜粋。

・銀行、信金信組、政府系(日本公庫、商工中金)の中小企業向け貸出残高は10年9月末で約252兆円

・このうち政府系貸出金約26兆円、保証協会保証付約35兆円、合計約61兆円で全体の24%

・08年9月末残高を比較すると、民間貸出残高(プロパー)が6兆円以上減少し、公的部門残高7兆円増

・11年2月中旬までの緊急保証実績は140万件、約25兆円、政府系セーフティネット貸付は65万件、約14兆円

・金融機関の預金に対する貸出金残高は00年12月末の95%から72%に下落、余剰資金を国債運用に回している

 

以上のように金融機関の貸出内容がプロパー資金から保証協会保証付にシフトしている現状が歴然としています。しかし、資金調達需要のある多くの企業が08年10月から始まった保証協会のセーフティネット保証を活用していますが、保証協会でも日本公庫でも企業毎に貸出の上限基準(月商の3-4ヶ月分等)を設けており、新たな借入制度や予算増額があったとしても借入ができる範囲は決まっており、今後保証協会や政府系の貸出額は増えないと思われます。

その意味では如何に取引金融機関のプロパー資金で調達できるかにかかっています。ここ数年、金融機関は保証協会保証付は積極的に提案してきましたが、プロパー資金に関しては業績がいい企業以外には消極的であり、今後もこの状況は続くものと思われます。

 

如何にプロパー資金で調達できる企業になるか。。。以下に簡単にまとめてみました。

・過去2期連続赤字、債務超過でないこと、仮にそのような状況であっても今期黒字化、債務超過解消に目処が立っていること

・借入返済のための借入、赤字補填資金ではないこと

・資金使途が明確に設備資金、新規事業資金であること

・新規事業資金であっても収益に貢献できる可能性が高いこと、ある程度の実績が出ていること

・経営者の事業に対する意欲が旺盛であること

・以上を事業計画書として策定すること

・金融機関と密接なコミュニケーションが取れていること

 

最近の弊社の実績でも年商6.5億円、既存借入1.5億円の企業が設備資金で2.5億円のプロパー融資を受けた事例もあります。借入をしない方がいいに越したことはありませんが、既存借入で金利が高い、設備投資が必要な場合もありますので、そのような場合にはプロパー資金での調達ができる企業に変革することが重要です。

 

2011.02.24 金融庁検査結果事例集

2011.2.10、金融庁より「金融検査結果事例集」が公表されました。これは金融庁が金融機関検査で指摘又は評価した内容を事例集としたものです。事例集全般は以下の金融庁HPをご覧下さい。

http://www.fsa.go.jp/news/22/ginkou/20110210-1.html

 

以下にて事例集の中から2事例を紹介します、下線は事例集抜粋箇所です。

 

○営業店が、申込日から3ヶ月経過した案件は謝絶するものと誤って理解して顧客に謝絶の説明を行っている事例

【検査結果】

(某金融機関の)理事会は、「金融円滑化管理規程」において、金融円滑化管理責任者が、顧客に対する適切な対応が行われているかを検証することを定めているほか、「金融円滑化マニュアル」に基づき、審査部門は、営業店において、融資の謝絶等を行った場合、謝絶経緯、説明内容等を記載した「融資謝絶に係る報告書」を提出させ、常勤役員等へ回覧している。こうした中、貸付条件変更の申込日から3ヶ月を経過した案件については、開示・報告の計数上では「謝絶とみなす」扱いであることから、営業店は、実際の融資判断においても申込日から3ヶ月経過した場合は謝絶するものと誤って理解し、顧客に謝絶の説明等を行っている事例が認められる。また、金融円滑化管理責任者は、当該事例について把握しておらず、貸付条件変更等申込みに対する謝絶内容の検証は不十分なものとなっている。

 

○融資部門が、貸付条件変更実行後、経営改善計画の策定先や策定予定先に対する事後フォローを十分行っていない事例

【検査結果】

融資部門は、急増する貸付条件変更の申込案件への対応に追われ、条件変更の実施に伴って「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」(以下、「実抜計画」という。)を策定している先や、条件変更実行後1年以内に実抜計画の策定を予定している先について、事後フォローの管理方法を定めていない。このため、同部門は、営業店に対して、実抜計画策定先のフォローアップ状況や、策定予定先の進捗状況について報告を求めておらず、営業店における実抜計画の策定状況も把握していない。

 

2010.09.30 条件変更・返済猶予中の手形割引

金融機関にとって手形の割引は新規貸出と同じ扱いと考えられており、その企業の与信力によって手形割引の枠が決められます。

条件変更・返済猶予を行う企業の与信力は条件変更前よりも当然低下することになりますので、従来のようにスムーズな割引が出来ない可能性が大きくなります。

場合によっては、条件変更後の手形割引を拒否される可能性もあります。

そこでポイントなのが、条件変更契約前に借入返済の延滞をしないことです。

 

但し、借入返済を延滞しなくても、割引銘柄(支払手形発行元)の与信が悪ければ、以下のように手形割引が難しい可能性もあります。

  • 全ての金融機関が銘柄指定をしてくる

  • 与信が低い銘柄は割引ができない

  • 手形割引までに時間がかかる

  • その都度、本部稟議となる

  • 他の金融機関でも割引を行うよう言われる

 

しかし、事例では条件変更後半年くらいで手形割引に信用保証協会が保証をつけてくれた事例もあります。この場合は、経営改善計画書の策定とその計画達成、粘り強い交渉が必要です。

現実として実際に保証がついた事例ですので、不可能ではありません。

 

手形割引を依頼する場合の注意点として、各金融機関は他行の割引枠がどうなっているか、自行だけが割引残高が多くないかを気にしますので、取引金融機関全てに均等になるように割引を依頼することが大切です。

しかし、全金融機関が銘柄指定してきますので、割れる手形と割れない手形が銀行毎に似通ってきます。その場合、金融機関毎の割引残高を均等にすることは難しくなりますので、金融機関には定期的に実情を相談することが賢明です。

 

2010.08.28 コミットメントライン、中小企業にも

コミットメントラインとは、銀行が取引をしている企業にたいして定めた融資枠である。銀行と取引先の企業があらかじめ融資の上限枠を協議しておき、この融資の枠内でなら一定期間いつでも審査を必要とせずに銀行が企業に資金を提供することを保証する制度である。1999年に特定融資枠契約に関する法律が制定されたことによって銀行側の手数料の設定の自由度が高まったことがコミットメントラインの広がりにつながった。

企業にとっては、審査の必要がないため迅速な資金調達が可能になるというメリットがある。また、迅速かつ容易に調達できる資金があるために企業は流動資金を減らすことができ、貸借対照表のスリム化が実現される。

また、銀行はコミットメントラインを設定することによって、通常の金利に加えて企業から融資枠の金額に応じた契約料を徴収するため、安定した財源を確保することができる。(引用:マネー用語辞典)

 

金融庁は金融機関が企業に対して設定する融資枠(コミットメントライン)の利用対象を中小企業にも広げる方向で検討に入った。

現行制度では融資枠の利用条件を資本金3億円以上の企業と定めているが、資本金規制を引き下げて中小企業の円滑な資金調達を後押しする狙いがある。

融資枠は企業があらかじめ設定した期間と限度額の範囲内で、金融機関から自由に借り入れができる契約を指す。設定時に金融機関に一定の手数料を支払う必要があるが、事前に契約を結んでおくため、急な資金需要などにも迅速に対応できる利点がある。(引用:2010.8.27付日本経済新聞)

 

2010.06.07 資産譲渡損益の計上ができなくなる

平成22年法人税改正により、同族会社間やグループ会社間で資産(固定資産、土地、有価証券、金銭債権及び繰延資産)を売買した場合の譲渡損益が、税務上売買時点での計上ができなくなります。

平成22 年10 月1日以後に行う譲渡損益調整資産の譲渡について適用されます。

従来、A社が含み損を持つ不動産をグループ会社であるB社に売却する場合、A社は不動産の損失(赤字)と事業の利益(黒字)を損益通算し、節税することもできました。平成22年10月1日以後は売買しても税務上の損金とならなくなりました。

逆に、含み益のある不動産をA社がB社に売却したとしても税務上の売却益は発生しません。

B社がその資産を譲渡や償却した場合に、A社はその計上を行うことができます(譲渡損益の繰り延べ)。

グループ会社間の取引ですので、このような改正は当たり前とも言えます。企業経営においては原理原則に基き、納税義務を果たすことが、企業が成長発展する基本です。

経営者は過度の節税に頭をひねるよりも、その思考を付加価値創造に向けることが肝要です。

詳細に関しては、顧問税理士や税務署に確認下さい。本HPは国税庁から発表された法人税改正についての情報提供のみです。

<改正内容>

内国法人が譲渡損益調整資産を当該内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人に譲渡した場合に、その譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額について、その譲渡した事業年度の所得の金額の計算上、それぞれ損金の額又は益金の額に算入することにより、その譲渡損益を繰り延べることとされました。

なお、この繰り延べた譲渡損益は、当該譲渡損益調整資産を譲り受けた当該他の内国法人(以下「譲受法人」といいます。)において当該譲渡損益調整資産の譲渡、償却等の一定の事由が生じた場合には、当該譲渡損益調整資産を譲渡した法人(以下「譲渡法人」といいます。)においてその計上を行うこととなります。

譲受法人において譲渡損益調整資産の譲渡、償却、評価換え、貸倒れ、除却などの事由が生じた場合には、それぞれ次の事由の区分に応じた金額を、その事由が生じた日の属する譲受法人の事業年度終了の日の属する譲渡法人の事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入することとされました。

下記は対象外です

イ 売買目的有価証券

ロ 譲受法人において売買目的有価証券とされる有価証券

ハ その譲渡の直前の帳簿価額が1,000 万円に満たない資産

資本に関係する取引等に関する改正

http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2010/pdf/02.pdf

法人税改正の全内容

平成22年度 法人税関係法令の改正の概要

http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2010/01.htm

消費税のあらまし(平成22年4月)

http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/aramashi/01.htm

 

2010.04.30 条件変更・返済猶予中(元金減額)の新規融資

条件変更・返済猶予を金融機関に依頼すると、その企業に対する与信は無くなり、条件変更中は新たな融資を受けることは難しくなります。

先般、金融庁より公表された「地域密着型金融に関する取組み事例集」130事例に関西アーバン銀行の条件変更中の新規融資事例が掲載されました(51ページ)。

条件変更中の新規融資のポイントとしては、

・条件変更に至った経緯が明確であること

・実抜計画が策定されていること

・実抜計画の進捗が順調で、対計画比-20%を下回っていないこと

・条件変更後、進捗を毎月銀行に報告し、コミュニケーションがとれていること

・新規融資の資金使途が明確であること

・新規借入分の回収見込みが明確であること 等

現状では条件変更中の新規借入は難しいのが実態です。しかし、不可能ではないことも事実です。実抜計画に基き、条件変更期間中に会社再建を行えば、通常の与信も復活します。

 

以下は事例集の抜粋です。

条件変更実行先に対する新規与信対応 (分野)事業再生支援 (金融機関名)関西アーバン銀行

1.動機(経緯)

当行では、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」の施行を受け、金融円滑化推進部を設置。営業店に対しては、常に返済猶予及びニューマネーによる支援等の指導・管理等を行っていた。

すでに条件変更実行先であったA社の事業計画進捗状況等の打合せの中で、販路拡大の為の資金需要が判明。事業再生支援として、本支店一体となり、新規融資の採り上げ検討を開始する。

A社の経営改善計画の進捗状況などについてA社と営業店が検討を行うなかで、販路拡大の可能性が見出されたことから、当行は、顧客の立場に立って販路拡大に向けた支援を行うとともに販路拡大に必要となる新規与信について検討を開始。

2.概 要

A社は、大阪市内に6店舗を展開する小物雑貨の小売・卸業者であったが、景気悪化により収益状況がやや下降気味であった。また、H21 年7月には、入居するテナントビルの耐震補強に伴い、収益が確保できていた2店舗の一時撤退を余儀なくされ、さらなる収益状況の後退が懸念されたことから、耐震工事完了後の再入居の実現性や不採算店舗の撤退等の経営改善計画を策定したうえで、返済金額を少額にする条件変更を実施した。

同改善計画の進捗状況を含め、今後の事業展開や販路拡大等についてA社と営業店が検討を行うなかで、新規販売先B社との新規取引の可能性が見出された。

これに伴い当行は、原材料の仕入れ、販売代金の回収の方法など、A社のリスクやコスト負担を最小限にとどめ、より有利な事業計画になるよう、A社の業務内容等を踏まえつつ本支店一体となって助言を行った結果、ベストチョイスの新規取引が成立したものである。

また、この取引によって、A社の収益力が向上し、キャッシュフローの改善が図られることから、当行はH22 年2月、当取引に必要な事業資金に対し新規与信を実行したものである。

<案件概要> ・手形貸付(信用) 15 百万円、期間1年 (3ヶ月据置後9回返済)

3.成果(効果)

・ 収益の悪化が懸念される中、顧客の実態を適切に把握し、早い段階で返済金額を引き下げ、資金面の負担を軽減したことから、新規取引先の獲得に専念できた。

・ 販路拡大支援を行い、新規資金を許容することでA社にとっては、新規販売先の獲得が可能となり、今後、売上げ拡大が期待でき、経営改善計画の実効性確保につながる見込みが立った。(本件後、年商36百万円、年間キャッシュフロー15 百万円の増加)

・ 本件は、条件変更先に対する支援案件であり、取引先・当行双方にとって有意義な事例であり、今後、営業店向けに事例紹介し、今後の取引先支援に役立てていく予定。

4.今後の予定

(課題)

取引先に対して適時適切なアドバイス・支援ができるよう体制を強化していくことが必要であることから、営業店指導によるノウハウの蓄積・共有及び本支店一体となった取引先への支援体制を強化していく。

 

地域密着型金融に関する取組み事例集の公表について

http://www.fsa.go.jp/news/21/ginkou/20100402-1.html

事例集(141ページ)

http://www.fsa.go.jp/news/21/ginkou/20100402-1/01.pdf

 

2010.04.06 参考になる金融機関の取組み事例集

金融機関の中小企業に対する、「特に先進的な取組みや、広く実践されることが望ましい取組み」が事例集として公表されています。

これは、地域金融機関が地域密着型金融を行った実際の事例で、中小企業が金融機関と融資等で対応する際に金融機関に支援をお願いする内容を知る上で非常に参考になる事例集となっています。

また、事例のような取組みを行うことを自社でも検討し、金融機関に積極的に提案することが、金融機関からの信用力を得る手段にもなります。

 

内容はカテゴリー毎に130事例が以下のように区分されています。

創業・新事業支援 13事例 

経営改善支援 30事例 

事業再生支援 25事例 

事業承継支援 8事例 

不動産担保・個人保証に過度に依存しない融資 13事例 

人材育成 4事例 

地域の面的再生 22事例 

地域活性化につながる多様なサービスの提供 15事例

 

事例の中には、条件変更を行った先に対して、新たな貸出を行った事例なども掲載されています。

 

条件変更実行先に対する新規与信対応 関西アーバン銀行(大阪府)

業況が悪化した卸・小売業者に対し、経営改善計画の策定と返済条件の変更を実施。改善計画のフォローとともに将来の事業展開等を検討するなかで、販売先開拓のサポートも実施し、新規取引が成立。新規取引に伴う新規融資を実行した事例

H22 年2月、当取引に必要な事業資金に対し新規与信を実行

<案件概要> ・手形貸付(信用) 15 百万円、期間1年 (3ヶ月据置後9回返済)

 

事例集は以下をご覧下さい。

地域密着型金融に関する取組み事例集の公表について

http://www.fsa.go.jp/news/21/ginkou/20100402-1.html

 

事例集(141ページ)

http://www.fsa.go.jp/news/21/ginkou/20100402-1/01.pdf

 

2009.09.27 金融庁・経産省が徹底すべきこと

亀井金融大臣の中小企業借入金や個人住宅ローンの返済を3年間猶予するモラトリアムがニュースとなっている。具体策や政府として法案化することも決まっていないが、中小企業としては借入金返済財源に窮している会社は願ってもみないことと思われる。

当然、法案化されても中小企業が一律に返済猶予されるような内容にはならないと思うし、その線引きも難しいと思われる。やはり、貸手である金融機関が個別に判断するのだろう。

 

しかし、モラトリアムのような法案を考える前に、金融庁・経産省が徹底するべきことは次である!

<金融庁> http://sixjp.com/20081125.aspx

平成20年11月7日付けにて金融庁は金融機関の中小企業に対する融資の条件変更緩和策「中小企業向け融資の貸出条件緩和が円滑に行われるための措置」を発表。

<経産省> http://sixjp.com/20090331.aspx

日本経済新聞2009.3.27記事抜粋「経産相、中小向け元本返済猶予を強化」

二階俊博経済産業相は27日の閣議後の記者会見で、金融機関に債務を抱える中小企業の負担を軽減するため、元本の返済猶予に向けた取り組みを強化すると発表した。(1)金利を継続して支払っている(2)将来返済する見込みがある(3)民間金融機関が協調して融資や返済猶予を実施している――などの条件を満たす場合には、元本の返済を半年から1年程度猶予するよう金融機関に要請する。

 

既にモラトリアムなどの論議をしなくても、20.11月から中小企業への貸出金に対する貸出条件緩和策が示されているのだが、金融機関の現場では浸透していない状況が散見される。

H20年夏以降の金融危機以降中小企業の経営は、一時セーフティネット保証とセーフティネット融資で一息ついたが、業況回復はまだ見えていないのが現状であり、これは大企業も同じである。

市場から退出すべき企業、価値がある企業を問わず、現在の中小企業の財務状況は厳しい状況が続いている。それに対する上記の金融庁と経産省の方針に対応した金融機関の条件緩和がスムーズになされているとは思えない。現に最近中小企業の条件変更依頼に同席した際、中小企業の経営者・経理担当だけでは銀行員に返答、反論できないような発言や条件を言う銀行がある。その結果、経営者は思い詰めて、元金返済猶予さえできれば生き残れる企業であっても、自己破産を選択する経営者も多いのではないかと懸念される。

是非とも、政府は金融機関が貸出金返済条件緩和をもっとやりやすいような施策を打ち出し、それを銀行は実行してもらいたいと思う。当然、返済猶予を行う中小企業経営者は自己を犠牲にして、粉骨砕身、自社の再建に24時間365日思考錯誤し、計画を立案し、自社の再建に立ち向かう必要がある。

 

2009.06.15 一度断られた融資

2008.10.31に始まったセーフティネット保証は、21.5月末での利用が10兆円を超えた。以下は、帝国データバンクの調査結果一部抜粋。

世界同時不況が進行するなか、2008年10月31日に始まった中小企業の資金繰りを支援する緊急保証制度は5月29日時点で累計53万4,000件、総額10兆8,000億円に達するなど、同制度の利用が進んでいる。

・緊急保証制度、申請企業の23.5%が融資減額、8.2%は審査を通らず

・緊急保証制度、金融機関から勧められて利用した企業が67.1%

・特別保証制度と比べた緊急保証制度の審査基準、「厳しくなった」が37.1%

詳細は http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w0905.pdf

 

上記の融資減額23.5%や審査通らず8.2%の比率が多いか少ないかは別として、3社に1社が申請通りの結果は得られなかったということであるが、緊急保証制度とはいえ、営業上のC/Fで返済見込みがなければ、申請通りの融資は厳しいと言わざるを得ない。

 

しかし、先月資金調達の相談があった企業の事例は、財務諸表や現状の借入内容から、緊急保証制度であっても追加融資は99%不可能と思われた。現に相談前にメイン銀行へ借入申込みを行い、融資はできないと金融機関担当者から言われていたのである。しかし、当社来社後、金融機関へ再度相談に行くと、前回と同じ担当者であったが、セーフティネット保証を受けることができた。

融資は申込額の半分であったが、その経営者としては近い将来に見えている受注見込みに向けて、モチベーション向上と事業継続に意欲を持つことができた。

このような企業への保証こそが緊急保証制度、つまりセーフティネット(転落防止ネット。転じて、安全網・安全策。経済的困窮者に対して、最低限の生活を続けられるように救済する社会保障制度を指すことが多い。日本においては生活保護がこれに該当する。)であると痛感した事例であった。

 

昨日、全国放送の某テレビ番組で住宅ローン返済が失業やボーナス減で支払が滞り、自宅を任意売却する事例が多くなっているとの特集番組があっていた。内容は数ヶ月延滞したため、督促に困窮し、任意売却専門業者のホームページを見て、相談するというもの。番組内容は、

「住宅ローンが返済できない」=「住宅売却」

しかないようなイメージであった。何年も住み慣れた住宅、やっと手に入れた住宅を手放すのは苦渋の決断である。いきなり任意売却を検討するのではなく、以下の方法を検討した上での最終手段が任意売却である。

・現状の住宅ローンのリスケジューリング(返済条件の変更)

・他の金融機関での借り換え

・個人の民事再生法

・親族、法人、第三者などでの買い取り

「住宅ローン 延滞」「住宅ローン 条件変更」で検索すると前向きで親切なサイトがありますので、参考にしてみてください。まずは、けっして諦めないことです。

 

2009.03.28 経営改善計画書とは(条件緩和、返済条件変更)

下記は金融庁の金融検査マニュアルFAQに記載されている金融機関が債務者(中小企業)の貸出金返済を猶予するなどの条件変更を行う際の内容を質疑形式で掲載されたものです。これは、金融庁が平成20年11月7日付けで発表した金融機関の中小企業に対する融資の条件変更緩和策「中小企業向け融資の貸出条件緩和が円滑に行われるための措置」に関する内容です。条件変更、条件緩和については次の記事を事前にご覧下さい。2008.11.25 金融庁の条件変更緩和

(注)黒字は金融検査マニュアルFAQからの抜粋で青字は当社のコメントです

 

(問)

債務者である中小企業が経営改善計画を策定していない場合でも、今後の経営改善の見込みがあれば計画が策定されている場合と同じように取り扱うとのことですが、経営改善の見込みはどのように判断すればいいのですか。

(答)

1.中小企業は大企業のように大部で精緻な経営改善計画を策定できない場合が多いと考えられます。また、経営改善への取組みがどのように財務内容や収益力の向上につながるか数値面での分析ができない、あるいは経営改善のために具体的に何をすべきか分からないといった場合も考えられます。

ここで言う「精緻な経営改善計画」とはどのレベルを指すかわかりませんが、中小企業であれ大企業であれ自社の経営分析を徹底的に行うことは経営者としては経営の鉄則・原理原則です。「精緻」とは売上や経費を構成する中身をどこまで細分化(セングメント)するかです。つまり売上や経費を構成する最小単位を「あらゆる角度」から分析することです。この数字をどうすれば収益に貢献するかは細分化しなければ答えは出てきません。大企業がそれを十分に出来ているかというと当然人材やシステム化において中小企業は劣るでしょうが、その中身は膨大な受注件数の積上げでしかない場合も往々にしてあります。

 

2.したがって、債務者自身が経営改善計画を策定していない場合であっても、今後の経営改善が見込まれる場合には、経営改善計画が策定されている場合と同じように取り扱うこととしています。

現実問題として経営改善計画を策定しない「中小企業の経営改善」はあり得ません。やはり今後の経営改善が見込めるかどうかは経営改善計画書という書面により経営者自らが金融機関に訴求するしかありません。

例えば、経営改善への取組みがどのように財務内容や収益力の向上につながるか数値面での分析ができないため、債務者が経営改善計画を策定できない場合には、債務者に代わって金融機関がこれを分析することも認められます。

これも同様に金融機関が債務者に代わって分析することができるとは思えません。金融機関の質的な問題ではなく、昨今の中小企業金融が多忙を極め、2008年10月からのセーフティネット保証で審査や手続きが輻輳している現状で金融機関が手取り足取り一中小企業の経営改善を支援できる余裕はないと考えるほうが自然です。

また、債務者が経営改善のために具体的に何をすべきか分からない場合には、金融機関が経営改善の助言・指導を行い、債務者と協力して経営改善に向けた取組み方針を策定し、これに基づく経営改善の見込みについて分析を行うことも認められます。

債務者が経営改善のために具体的に何をすべきか分からないというのは企業経営者としての経営能力に問題があると言っているのと同じです。企業経営というのは経営者の経営に対する熱い想いを具現化することです。その具現化を手助けしてもらうために幹部、社員を雇用します。確かに経営者といえども一日の半分以上を資金繰りに悩むようになったら通常の経営思考や経営判断が出来なくなります。苦痛であり、地獄であると思います。そのような状態になった場合はまず親しい経営者や心を許せる財務がわかる人に相談することです。自分が悩むほど資金繰りの問題は大変ではないかもしれません、解決策は必ずあるはずです。

まず何をすべきか分からない経営者は資金繰りの苦痛を和らげない限り、経営改善の具体策は出てきません。資金繰りの苦痛が和らいだら、経営の舵取り(経営戦略、新規事業、新規商品・得意先開拓等)を前向きにどうやっていくかをワクワクドキドキしながら24時間365日考えることです。

そのような前向きな相談は金融機関、公的機関、取引先、社員に積極的にすることです。

 

3.一般に、経営改善のためには、収益力の向上が必要と考えられますが、収益力の向上のためには、売上の増加や費用の削減が必要です。また、経営が改善するまでの間のキャッシュフローが確保されることが前提となります。したがって、経営改善見込みの分析にあたっては、①経営が改善するまでの間のキャッシュフローが確保されているか、②例えば、今後の資産売却予定、役員報酬や諸経費の削減予定、新商品等の開発計画や収支改善計画等、何らかの売上増加や費用削減のための具体的な取組みが行われており、それにより収益力が向上し、経営改善期間終了後も自助努力で事業の継続性が確保できるようになるか、といった観点からの分析が重要になると考えられます。

人間の身体に血液が回らなければいけないように、企業経営も血液という資金が回らなければなりません。よって、経営改善計画を策定するには貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)からキャッシュフロー(CF)を計算しなければなりません。中小企業の場合、経営者が数値を的確に金融機関に説明できるか出来ないかは大きな差です。経理や簿記の詳細な知識は不要としても説明できるだけの資質は身につけておくことです(わかりやすい経理単行本を数冊読むだけでも全然違います)。

例えば、今月在庫の機械1台を10万円で販売したとします。納品は今月完了しました、その際機械と一緒に請求書を渡しました、入金は再来月です。ということは売上高は10万円PLに今月計上され、利益もその分増えます。BSは商品在庫が10万円の売掛金に変わります。お金(CF)は今月来月何も変わりません、再来月に10万入ってきます。単純に言うとBS,PL,CFの関係はこれだけです。難しく考える必要はありません。

経営改善計画書を策定するには、

①現状の売上、経費等の数値セグメントを徹底的に行う、どこをどうすれば数値がどう良くなるか検討

②資金繰りの悩みを右に置き、経営の舵取りを四六時中考える

③会社の財務諸表(BS,PL)の全ての数値をどうすればCFがよくなるか(税理士等に相談し)徹底検討、その際前述したようにBS科目もすべてセグメントし検討することです。

 

4.なお、分析にあたっては、財務内容や収益力がどのように改善していくのかについて精緻な見積りを行う必要まではありませんが、単に改善するという定性的な評価だけでなく、収益等の数値目標を合理的に見積もることが必要です。また、この数値目標については、金融機関と債務者と認識を共有する必要があります。

精緻な見積りは必要ないが、数値目標を合理的に見積もることとあります。精緻な見積もりをしなければ、合理的な見積もりはできません、ですので最初に記載の経営改善計画書を策定していなくてもということはあり得ないということです。これは金融機関に対するQ&Aですので、仮に金融機関に「改善計画がなくてもいいとあるではないか!」と言ったとしても、では合理的な見積(計画)をお願いしますと言われるのがおちだと思います。

5.いずれにせよ、経営改善は債務者である中小企業が主体的に取り組むものです。その上で、金融機関が必要に応じ適切に支援するなど、双方の密接なコミュニケーションにより経営改善を図って行くことが望まれます。

この結論にあるように主体は中小企業の経営者です。金融機関は敵ではありません。よきパートナーと考え、真剣な付き合いをすることです。資金繰りの厳しさを共有できるような金融機関担当者との付き合いをすることです。ある経営者は手形決済で資金繰りが厳しいと担当者に隠さずにストレートに相談します、そうするとその担当者はありとあらゆる可能性を探り、自行で無理でも相談にのり、アドバイスしてくれるそうです。

最近ではお金を返済しない法、銀行の言うことは聞くな等の本もあるようですが、金融機関に公的資金が注入されようが、優遇施策があろうが、返済の約定を守ることは債務者としての最低限のマナーです。

 

金融検査マニュアルはこちら

http://www.fsa.go.jp/manual/manualj/manual_yokin/bessatu/kensa01.html

 

2008.9.28  建築業界・不動産購入資金調達~難易度が高い融資~

現在、金融機関の建設建築業界への融資や不動産取得に対する融資姿勢は相当消極的になっており、特にマンションや商業施設デベロッパーへの融資を絞り込んでいる状況である。

このような状況で年間粗利2億円の建設会社の資金調達支援を行った。スキームは社長個人所有の収益物件を新たに新設する同族の不動産管理会社に売却し、その購入資金を調達するプランである。この物件に対してどれだけの調達が出来るかがポイントであるが、今回年間収益額の表面利回り10%で試算した額(①)の融資を依頼した。複数の金融機関と交渉したが、大抵は固定資産評価額程度(①の約60%)の回答であった。つまり、単なる不動産担保による融資(別会社であっても同一会社への融資)と判断され、新設会社へ収益物件を売却する根本的な趣旨が伝わらなかったのである。

上述のように、現状の金融機関の不動産に対する融資姿勢は厳しいものがある上に、新設する不動産管理会社は未設立で同族間売買となるのでハードルは普通に考えても相当高いのが現実である。

通常、金融機関は赤字補填、過去の負債の穴埋めでは簡単に融資はしてくれないし、新規取引金融機関では当然のことである。また、不動産担保での融資金額は実質的な不動産価値の60-70%程度である。よって、上記の固定資産評価額程度の融資額回答は普通と考えるほうがいいのかもしれない。

しかし、今回は第三者に売却する価格を想定(①)し、同族間売買であっても表面利回り10%、且つその価格の100%の融資額を調達するという高いハードルを設定した。最初から諦めるのではなく、不可能を可能にする発想と融資担当者を納得させる計画が大切である。

そこで、今回の趣旨として新設会社の設立理念、営業展開する上での優位性、節税効果を説明し、(新規取引金融機関の)融資担当者の理解に努めた。その結果、最初に私が融資担当者と面談して2.5ヶ月、融資額は希望通りの実行(①)となった。ポイントは不動産を商品としてみるか、単なる担保不動産と見るかが、大きな相違であった。

今回の調達支援で思ったことは、複数の金融機関へ同じ条件を提示したが、金融機関には各々カラーがあり、融資に対する考え方がけっこう違うものである(普通はどこも同じと考えるが)。特に、都銀・地銀・信金・信組でも相当考え方が違うので、自社の取引金融機関(担当者ではなく金融機関)の特性を見極めることが特に必要である。当然、その前に融資を受けるにも理念や計画が必要であることに変わりはない、この理念と計画がきちんとしていれば金融機関との交渉、調達はさほど難しいものでもないと思うのだが。。。

<ポイント>

・調達に対する前向きな理念、計画があるか?

・その理念を銀行担当者に共鳴させることができるか?

・具体的な計画を書面にできているか?

→つまり、融資を受けるのも投資家から資本を受けるのも基本は同じである。

 

2008.09.01 金融庁方針と中小企業経営

2008年下期から金融庁の金融機関に対する検査が厳格化されるようだ。一部には景気後退を配慮して中小企業に円滑に融資をしているかを重点的に検査するとのことである。

金融庁「平成20年検査事務年度検査基本方針」では最後の項目に「円滑な中小企業・地域金融に向けた対応」が掲げられている。内容を見ると、「地域経済における拠点としての役割も担う地域銀行、信用金庫、信用組合などの地域金融機関には、自らの責任と判断により適切かつ積極的にリスクテイクを行うとともに、それにふさわしい適切なリスク管理態勢を整備することを通じて、地域における金融仲介機能を積極的に発揮していくことが強く期待」とあるが、金融機関が自ら中小企業の原油・原材料高騰による収益悪化部分をリスク管理し、ましてやリスクテイクすることが出来るのだろうか?原油や原材料高騰などに対して、その高騰部分への融資が円滑にされるようになるかは疑問である。

また、基本方針には「融資先の赤字や債務超過、貸出条件の変更といった事実のみで判断するのではなく、経営・財務の特性等を十分に踏まえた上で融資判断」とある。金融機関の中小企業に対する融資姿勢は、金融監督庁が1998年(平成10年)6月22日に設立、大企業向けの金融検査マニュアルが1999年7月に

策定され、このマニュアルに沿って杓子定規のように中小企業も格付けされて以来、2期連続赤字・債務超過・過去の条件変更等はバツイチとされ、一貫して中小企業融資に疲弊をきたしてきた。これが、上記のような基本方針で金融機関が融資判断するとは到底思えないし、「経営・財務の特性等を十分に踏まえ」という言葉も解釈に苦しむ。

また、以前より劣後ローンのDDS化(債務の資本化)もマニュアルに記載されているが、今回の基本方針にも「金融検査マニュアルの改訂により、十分な資本的性質を有する劣後ローン等の借入金を債務者区分の判定において資本とみなすなど、対象企業の資本強化を通じた経営安定を図るためのツールも逐次整備されてきている。」とある。果たして、長期的に短期借入金を借り換えされている劣後ローンをDDS化できている中小企業がどれだけあるのだろうか?基本方針に記載するほど活用されているとも思えない。

更には、今回の基本方針の重要な部分は、アメリカサブプライムローン問題などに端を発する金融商品に対する検査の厳格化である。日本においてもバブル崩壊後の不良資産のオフバランス化を目的としたSPCによる証券化スキームが大流行した。今回の検査ではこの部分にメスが入るものと思われる。これは、SPC自体が将来の収益を見込んだ金融仕組みなので、昨今の不動産不況・空室率増加などにより当初の収益予測からは大きく乖離しているものと思われる。この部分の検査が厳格化されるということは、不動産証券の不良債権化→貸倒引当金の積み増し→収益悪化→貸し渋り・銀行統廃合という段階を踏むものと思われる。

金融庁基本方針:http://www.fsa.go.jp/news/20/20080819-2.pdf

 

以上のように、金融庁の施策は中小企業にとって予断を許さない状況に向うことが予測されるが、中小企業経営の場合、企業経営者が上記のような金融施策を理解し、財務面においても経営者自らが付加価値を創出し続けなければならない。頼れるのは自分だけである。

金融機関の中小企業への融資姿勢について、まずは経営者自らが金融検査マニュアルを読んでみることである。ページ数は77ページと多いが、事例もあり参考となる。これを自社に置き換えて金融機関と対することが必要である。(安易に金融機関借入に頼るのは危険、やはり如何に自己資本増強するかが重要)

金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕:http://www.fsa.go.jp/manual/manualj/manual_yokin/bessatu/y1-01.pdf

また、自社の経営現況を外部要因(景気、銀行、得意先、原材料高騰等)に転嫁しないことである。転嫁した時点で経営者としての発想が遮断されてしまう。経営者は時代環境に応じて受注構造を自ら発想し、変革するのが仕事である。しかし、このような時代環境においては言うは安し行うは難しではあるが、生き残り策は必ずある。

 

2008.7.3 銀行融資実行確率5%への挑戦


融資担当者:「現状の御社の状況では融資できる確率は5%くらいですね~。」担当者の言葉は当然である。この企業の代表から相談を受けたとき金融機関からの調達は厳しいのではないかと私自身も思っていた。しかし、代表は現在の金融機関の融資体制をあまり理解していないため(知らぬが幸せということもある)、また切羽詰った状況でもあったため、担当者に懇願していた。

この企業は個人事業で年間粗利20百万円弱、主だった資産はなく、負債は過去の未払金25百万円、未払給与1.5百万円、銀行借入4.5百万円、サラ金6百万円の合計37百万円という状況で債務超過とかいうレベルをはるかに超えており、更には過去の個人申告もしていないのと同じような状況であった。融資担当者からは破産の言葉も出る程であった。
借入のための担保は提供できるのだが、現在の金融機関は担保があっても事業収益で約定返済ができなければ融資は難しいのが実態である。
私も代表と共に融資担当者に何度も面談し、今後の事業の見通しを計画書にて説明を行った。徐々に担当者も本部への稟議を前向きに行ってくれるようになった。そして、私が融資担当者と初めて面談してから、約1ヶ月超で40百万円の融資実行となった。
今回の成功のポイントは隠し事なく全て(上記負債全て)を担当者に説明したこと、実現性のある計画書を作成したこと等である。
融資後に融資担当者が教えてくれたことは、やはり計画書の中で創業の想い、事業のコンセプト等々が代表の言葉で伝わって来た、というのが担当者を動かした原動力だった。
よく経営者からどうすれば融資を受けられるかという質問があるが、やはり如何に融資担当者に共鳴してもらい、実現性のある計画を立案するかと思う。しかし、100社あれば100通りのやり方があるのも事実である。あなたの会社にはどのようなやり方があるのであろうか。。。