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【経営情報】

 本ページは過去の経営情報を再掲載しております。

建設業の資金調達のタイミングはいつか


資金調達を行う理由は以下の4点が考えられます。
(1)新たな設備投資資金
(2)前向きな財務改善資金(リストラ資金、買掛支払条件緩和資金等)
(3)通常運転資金(納税資金、賞与資金)
(4)赤字運転資金(赤字補填、支手決済、借入返済)


上記(1)から(3)であれば、経営計画書を作成し資金の必要性とその資金を投入することによる新たな収益確保を説明すれば、比較的金融機関も前向きに検討してくれるでしょう。
しかし、(4)であれば金融機関は貸付けた資金が返済できるかを審査しますので、建設業であれば赤字運転資金を借りることは難しくなります。


基本的には借入金は、その借入金で収益が向上し、その向上した償却前当期利益の範囲内で返済する、設備投資であればその減価償却費の範囲で返済するというのが鉄則です。


しかし、中小企業の場合業績が安定せず、返済のための借入、赤字補填のための借入ということも多分にあると思います。その際に月次の売上高が安定している業種か、していない業種かで借入できるかどうかがポイントとなります。
建設業の場合、多くが3月の売上高がピーク、夏場にかけて閑散期、秋口から3月にかけて右肩上がりで売上が計上されるパターンが多いと思います。
その場合、4-8月の資金繰りが厳しい状況となります。この時期に金融機関に資金調達を依頼しても赤字補填資金ということが歴然としていますので、簡単ではありません。
よって、建設業の場合の資金調達のベストなタイミングは10-3月の間となります。つまり、受注予定工事・手持工事がある時期に4-8月の資金繰りが厳しい時期の資金も手当しておかなければいけません。
厳しい時に申し込んでも足元を見られます、余裕があるときに厳しい時のことも考えて資金調達を考えなければいけません。


その意味で自社の過去3年間の月次資金繰りを見直し、向う1年間の資金調達計画を立案する必要があります。


建設業の資金調達 
 

建設業は他業種に比べ、資金調達が厳しいと言われます。その大きな要因のひとつに非連続性の受注産業であるということがあります。 

中小企業の建設業の中でもゼネコン下請の場合、次のようなことが言えます。 
・受注できるかできないかの主導権がゼネコンにある 
・見積依頼はあるが、受注できるとは限らない 
・将来的な受注見込みが数ヶ月先しか読めない 
・特に公共工事の場合、4月から7月くらいが閑散期となり、年間を通した資金繰りの変動が大きい 
・名目建設投資額は92年ピーク比50.3%、その内民間非住宅建設投資額は36.5%と市場縮小幅が大きい 
・反面、建設業者数はそれほど減少していない 等


以上のように建設業界を取り巻く環境は厳しいものがありますが、今後の市場としてはリーマンショック前に回復する兆しもあり、中期的には建設投資額は50兆円までは戻ると思われます。 
このような現状の中、中小建設業として生き残っていくためには次のようなことが必要となります。


現在の業界の中で我が社の存在意義はどこにあるのかを明確にする(抽象的な言い方ですが、経営者が自分の会社と扱い商品に意義を見出せなければ存続はできません、自社の強みをわかることが重要です)


物件毎の利益管理を徹底する(資金繰りのための赤字受注では早晩行き詰ります、利益は会社存続の必要経費です)


見積提出済み、営業案件など受注前案件を徹底的にフォローする(表題の資金調達のためにはこれが最も重要です、詳細後述)


第1四半期に今期の受注目標売上高の受注見込額(見積提出分含め)を確保しておく(通常、向う4-6ヶ月くらいしか受注の見込みしか見えないのが現実でしょう、しかし資金調達を考えた場合今期売上目標額を第1四半期に計画立案することが資金調達成功の成否をとなります)


建設業の資金調達を考えた場合、金融機関はその企業への貸出が回収できるかどうかで判断します。よって受注に連続性がない場合は長期資金(保証協会、政府系徐く)を調達することはそう簡単ではありません。また、資金使途も資金繰りが厳しいからという理由では借入できません。その意味で建設業が資金調達する場合、工事引当で如何に短期資金枠を確保するかが重要です。 
・工事引当で調達できる受注工事物件を確保する(工事注文書がなくても発注者との打合議事録等を準備しておく) 
・そのために見積案件、営業案件の工事物件フォローをきちんとしておく 
・向う半年の資金繰表、今期物件毎受注計画表を作成し、短期資金調達計画を金融機関に提示しておく

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