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【経営情報】

 本ページは過去の経営情報を再掲載しております。

条件変更・返済猶予中(元金減額)の新規融資


条件変更・返済猶予を金融機関に依頼すると、その企業に対する与信は無くなり、条件変更中は新たな融資を受けることは難しくなります。 
先般、金融庁より公表された「地域密着型金融に関する取組み事例集」130事例に関西アーバン銀行の条件変更中の新規融資事例が掲載されました(51ページ)。


条件変更中の新規融資のポイントとしては、 
・条件変更に至った経緯が明確であること 
・実抜計画が策定されていること 
・実抜計画の進捗が順調で、対計画比-20%を下回っていないこと 
・条件変更後、進捗を毎月銀行に報告し、コミュニケーションがとれていること 
・新規融資の資金使途が明確であること 
・新規借入分の回収見込みが明確であること 等 
現状では条件変更中の新規借入は難しいのが実態です。しかし、不可能ではないことも事実です。実抜計画に基き、条件変更期間中に会社再建を行えば、通常の与信も復活します。


以下は事例集の抜粋です。 
条件変更実行先に対する新規与信対応 (分野)事業再生支援 (金融機関名)関西アーバン銀行 
 

1.動機(経緯)
当行では、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」の施行を受け、金融円滑化推進部を設置。営業店に対しては、常に返済猶予及びニューマネーによる支援等の指導・管理等を行っていた。 
すでに条件変更実行先であったA社の事業計画進捗状況等の打合せの中で、販路拡大の為の資金需要が判明。事業再生支援として、本支店一体となり、新規融資の採り上げ検討を開始する。 
A社の経営改善計画の進捗状況などについてA社と営業店が検討を行うなかで、販路拡大の可能性が見出されたことから、当行は、顧客の立場に立って販路拡大に向けた支援を行うとともに販路拡大に必要となる新規与信について検討を開始。


2.概 要
A社は、大阪市内に6店舗を展開する小物雑貨の小売・卸業者であったが、景気悪化により収益状況がやや下降気味であった。また、H21 年7月には、入居するテナントビルの耐震補強に伴い、収益が確保できていた2店舗の一時撤退を余儀なくされ、さらなる収益状況の後退が懸念されたことから、耐震工事完了後の再入居の実現性や不採算店舗の撤退等の経営改善計画を策定したうえで、返済金額を少額にする条件変更を実施した。 
同改善計画の進捗状況を含め、今後の事業展開や販路拡大等についてA社と営業店が検討を行うなかで、新規販売先B社との新規取引の可能性が見出された。 
これに伴い当行は、原材料の仕入れ、販売代金の回収の方法など、A社のリスクやコスト負担を最小限にとどめ、より有利な事業計画になるよう、A社の業務内容等を踏まえつつ本支店一体となって助言を行った結果、ベストチョイスの新規取引が成立したものである。 
また、この取引によって、A社の収益力が向上し、キャッシュフローの改善が図られることから、当行はH22 年2月、当取引に必要な事業資金に対し新規与信を実行したものである。 
<案件概要> ・手形貸付(信用) 15 百万円、期間1年 (3ヶ月据置後9回返済)


3.成果(効果)
・ 収益の悪化が懸念される中、顧客の実態を適切に把握し、早い段階で返済金額を引き下げ、資金面の負担を軽減したことから、新規取引先の獲得に専念できた。 
・ 販路拡大支援を行い、新規資金を許容することでA社にとっては、新規販売先の獲得が可能となり、今後、売上げ拡大が期待でき、経営改善計画の実効性確保につながる見込みが立った。(本件後、年商36百万円、年間キャッシュフロー15 百万円の増加) 
・ 本件は、条件変更先に対する支援案件であり、取引先・当行双方にとって有意義な事例であり、今後、営業店向けに事例紹介し、今後の取引先支援に役立てていく予定。


4.今後の予定(課題)
取引先に対して適時適切なアドバイス・支援ができるよう体制を強化していくことが必要であることから、営業店指導によるノウハウの蓄積・共有及び本支店一体となった取引先への支援体制を強化していく。

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